リリア・マリア・ラニは、イタリア・ピエモンテ出身の生産者です。ワイン業界とは異なる分野でミラノにてキャリアを築いたのち、自らの内なる声に導かれるようにしてトスカーナとエトナに畑を取得し、人生をかけたワイン造りの道を歩み始めました。彼女にとってワインとは単なる農産物ではなく、土地と向き合い、時間と対話し、自身の哲学を映し出す表現そのものです。
プロジェクトの心臓部は畑にあります。モンタルチーノのカステルヌオーヴォ・デッラバーテ、モンテ・アミアータを望む丘の上、オルチャ川とエンテ川が交わる壮大な景色の中に広がるその畑は、品質、感情、そして手仕事の精神を体現しています。畑はヴィーニャ・カーヴァ、ヴィーニャ・ディ・メッツォ、ヴィーニャ・グランデの三つの区画に分かれ、それぞれが異なる表情を持ちながらも一つの調和を成しています。数千年前に形成された「サンタ・フィオーラ層」と呼ばれる粘土と石灰岩の混合土壌、そして古代の採石場に由来するオニキスの破片が、この土地に唯一無二の個性を与えています。
醸造においては自然酵母のみで発酵を行い、温度管理も行わず、小ロットのワインが自らのリズムで進化することを信頼します。土地に根付く微生物の力を受け入れ、木樽の使用も最小限にとどめることで、ワイン本来の姿を曇らせることなく育てていきます。栽培から収穫、醸造に至るまでビオディナミの理念に基づき、月の満ち欠けと自然のリズムに寄り添いながら、剪定も収穫もすべて手作業で行われます。灌漑はせず、化学薬品も用いません。テロワールの本質、そのエネルギーと純粋さをそのままボトルへと封じ込めることが彼女の目指す姿です。
ラベルにはアンドレア・タレッラによる芸術的なイラストが描かれ、中心に輝く月はこのワイナリーの象徴として存在しています。月は循環と豊穣を司り、土地を耕す者にとっての導き手であり、自然の力そのものです。